生理周期がバラバラ(不規則)に効くツボ
生理周期がバラバラ(不規則)に効くツボ

生理周期が25日から35日の間で毎回バラバラ。
きっと、ご自身の体のリズムがつかみにくく、お仕事や家事、育児と両立する中で不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そのように生理周期がバラバラで悩まれている方に効果的なセルフケアのツボをご紹介しますので、ご活用ください。
西洋医学からみた生理周期が不規則
西洋医学において、生理周期が25日から35日の間で毎回バラバラである状態は、排卵の不安定さやホルモンバランスの微妙な乱れが原因と考えられます。
正常な生理周期は25日から38日とされており、この範囲内であっても周期が毎回変動する場合は、排卵が安定して行われていない可能性が示唆されます。
排卵は、脳の視床下部、下垂体、そして卵巣が連携して分泌するホルモンによって厳密にコントロールされています。
この連携がストレス、睡眠不足、不規則な生活、過度なダイエットや肥満、甲状腺機能のわずかな異常など、様々な要因で乱れると、排卵が遅れたり、早期に起こったりして、結果的に生理周期が不規則になります。
とくに、黄体機能不全が関与していることもあります。
これは、排卵後に形成される黄体から分泌されるプロゲステロンというホルモンの量が不足したり、分泌期間が短かったりすることで、子宮内膜が十分に維持されず、生理が早まったり、出血が長引いたりする状態です。
生理周期が短くなったり長くなったりと変動幅がある場合、この黄体機能の不安定さが影響している可能性があります。
西洋医学的な治療法
西洋医学における、生理周期が25日から35日の間で変動するような比較的軽度な不規則性に対する治療は、その原因と症状の程度によって異なります。
まず、生活習慣の改善が重要視されます。
ストレスの軽減、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動などが、ホルモンバランスを整える上で推奨されます。
薬物療法としては、ホルモンバランスを整えるために低用量ピルやプロゲステロン製剤が処方されることがあります。
これらは排卵を抑制し、ホルモンの補充によって人工的に生理周期を規則的にする効果があります。
とくに、周期を安定させたい場合や、PMS(月経前症候群)などの関連症状が強い場合に検討されます。
また、もし基礎疾患(例えば甲状腺機能のわずかな異常など)が発見されれば、その疾患に対する治療が行われます。
不妊治療中であれば、排卵のタイミングを予測しやすくするために、排卵誘発剤が少量用いられることもあります。
これらの治療は、あくまで対症療法的な側面が強く、根本的な体質改善を目指すというよりは、症状をコントロールすることに主眼が置かれます。
東洋医学からみた生理周期がバラバラ

東洋医学では、生理周期が25日から35日の間で変動するような状態も、体全体の「気(生命エネルギー)」「血(血液や栄養物質)」「水(体液)」のバランスが不安定であることの表れと捉えます。
とくに、「肝」「脾」「腎」といった臓腑の機能が、生理周期の微妙な乱れに深く関わっていると考えます。
これらの臓腑の連携がスムーズでなかったり、特定の臓腑の働きが弱かったりすることで、周期の変動が生じると考えられます。
東洋医学では、生理周期の不安定さを引き起こすいくつかの体質タイプがあります。
肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ
このタイプは、ストレスや精神的な緊張が多い方に多く見られます。
「肝」は気の巡りをスムーズにする働きを担っており、ストレスが過剰になると肝の機能が滞り、気の巡りが悪くなります。
これにより、生理周期が短くなったり長くなったりと不安定になったり、生理前にイライラ、胸の張り、頭痛などの症状が出やすくなります。
気の滞りは血の巡りも悪くするため、生理痛を伴うこともあります。
周期が短いときはイライラが強く、周期が長いときは気分が落ち込む、といったように、感情の起伏が周期に影響することもあります。
脾気虚弱(ひききょじゃく)タイプ
胃腸が弱く、疲れやすい方に多く見られます。
「脾」は飲食物から気や血を生成し、全身に運ぶ中心的な役割を担っています。
脾の機能が低下すると、気や血の生成が滞り、子宮や卵巣に十分な栄養が行き渡らなくなります。
これにより、生理が遅れがちになったり、出血量が少なくなったり、生理がなかなか終わらなかったりするなど、周期が不安定になります。
体のだるさ、食欲不振、消化不良、むくみやすいといった症状も伴うことが多いです。
腎虚(じんきょ)タイプ
加齢や過労、生まれつきの体質などにより、「腎」の機能が少し低下している状態です。
腎は生命の根源的なエネルギーを貯蔵し、生殖機能を司る臓器です。
腎の機能が不安定だと、卵巣機能の成熟や排卵の安定性に影響が出やすくなります。
生理周期が短くなったり長くなったりと変動しやすいのが特徴で、生理が早まったり、量が少なかったり、不正出血を伴うこともあります。
冷え性、腰や膝のだるさ、めまい、耳鳴りなども伴うことがあります。
これらの体質は単独で現れることもあれば、複数のタイプが複合していることも少なくありません。
当院では、患者さんの脈や舌、お腹の状態などを総合的に診て、どのタイプに当てはまるのかを判断し、最適な鍼灸施術を行っていきます。
生理周期がバラバラ(不安定)に効くツボ
生理周期のバラつきを改善するためには、東洋医学的な体質診断に基づいて、その根本原因にアプローチするツボを選ぶことが重要です。
全身のツボ(経穴)を使って、気・血・水のバランスを整え、臓腑の機能を高めることで、体質改善を図ります。
共通のツボ
周期が25日から35日で変動するような方にも、共通して効果が期待できるツボは、以下の通りです。
これらのツボは、特に婦人科系の症状に広く用いられ、体の土台を整える働きがあります。
■三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。
効果: 脾・肝・腎という婦人科疾患に重要な3つの陰経が交わるツボであり、気・血・水の巡りを整え、婦人科疾患全般に効果的です。
生理不順、生理痛、冷え性、むくみなどに有効で、特に周期の安定化に重要な役割を果たします。
■関元(かんげん)
指幅4本をそろえて人さし指をおへそにおき、小指があたっているところ。
効果: 生命エネルギーの源である「腎」の機能を高め、生殖機能を活性化させます。
下腹部の冷えを改善し、卵巣の機能をサポートすることで、生理周期を安定させる効果が期待できます。
お灸も非常に効果的で、子宮を温める作用もあります。
■太衝(たいしょう)
足の甲にあります。足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
効果: 肝の気を巡らせるツボであり、ストレスによる生理不順(肝鬱気滞)に特に有効です。
イライラや生理前の不調を和らげ、気の滞りを解消することで、生理周期の変動を穏やかにします。
体質別の効果的なツボ
上記に加えて、それぞれの体質に合わせて以下のツボを組み合わせることで、より効果的な施術が期待できます。
肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ
■期門(きもん)
みぞおちから肋骨の下縁をたどり、鎖骨の下で、乳首と同じ線上にある。
もしくは、みぞおちから肋骨へ指を移動し、肋骨と肋骨の間を押して痛みを感じるところが期門です。
理由: 肝の気の滞りを直接解消するツボで、ストレスによる生理不順、生理前の胸の張りやイライラを和らげます。
気の流れをスムーズにすることで、周期の乱れを調整します。
脾気虚弱(ひききょじゃく)タイプ
■足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
効果: 脾胃の機能を高め、気血の生成を促進する「健脾和胃(けんぴわい)」の代表的なツボです。
消化吸収を助け、全身の活力を高めることで、子宮や卵巣への十分な栄養供給を促し、生理周期の安定に貢献します。
■陰陵泉(いんりょうせん)
膝の内側、太い骨(脛骨)の下にあるくぼみです。
効果: 脾の働きを助け、体内の水分代謝を促進するツボです。
むくみや体の重だるさ、生理の出血量が少ないといった症状を伴う場合に有効です。
腎虚(じんきょ)タイプ
■太谿(たいけい)
内くるぶしとアキレス腱のほぼ中央のくぼみにあります。
効果: 腎の機能を補い、生命エネルギーを養う「補腎(ほじん)」の重要なツボです。
加齢や過労による生理不順、冷え性、腰や膝のだるさなどに効果的で、卵巣機能の安定化を促します。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。

「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。

初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
ドライヤーお灸のやり方と注意事項
ドライヤーお灸は、火を使わずにドライヤーの温風を利用してツボを温める、手軽で安全な方法です。
広い範囲を温める場合や、火を使うお灸に抵抗がある方や、初めてお灸を試す方におすすめです。
ドライヤーお灸のやり方
準備
ドライヤーと、もしあればですが、姿見もしくは手鏡を用意します。
手鏡があると、背中など見えにくい部分のツボを温める際に便利です。
温風の当て方
ドライヤーを肌から5~10cmほど離します。
近すぎると熱くなりすぎるため、必ず距離を保ってください。
温風の温度は、低温(50~60度程度)に設定します。
ドライヤーに温度調節機能がない場合は、ドライヤーと肌の距離を調整することで熱さを調節します。
熱く感じたらすぐにドライヤーを離すようにしてください。
温風を当てる時間は、1つのツボにつき、熱いと感じたら離す、を5回程度繰り返します。
連続して長時間当て続けるのは避けましょう。
温める場所
特定のツボを意識する必要はありますが、厳密な位置にこだわる必要はありません。
ドライヤーの温風は比較的広い範囲に当たるため、「面」で温めるイメージで大丈夫です。
ツボの周辺をじんわりと温めることで、効果が期待できます。
行う頻度
朝晩2回程度行うのがおすすめです。
ご自身の体調や生活に合わせて、無理のない範囲で行ってください。
ドライヤーお灸の注意事項
・怪我や炎症、痛みなどで熱を持っている部位には使用しないでください。症状が悪化する可能性があります。
・泥酔時や発熱時など、体調がすぐれない場合は使用を控えましょう。
・他人にドライヤーお灸を行うのは避けてください。
温度の感じ方には個人差があり、火傷をさせてしまう可能性があります。
・使用中に皮膚に異常(赤み、かゆみ、痛みなど)が現れた場合は、直ちに使用を中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・同じ部位に長時間当て続けないように注意してください。
低温火傷の原因となることがあります。
鍼灸院での本格的な施術のすすめ
ご自身の生理周期のバラつきに対して、ご自宅でのセルフケアも非常に大切です。
上記でご紹介したツボを、お風呂上がりなどのリラックスできる時間帯に、指の腹で優しく押したり、市販のお灸で温めたりしてみてください。
三陰交や関元へのお灸は、冷えの改善にもつながり、心地よい温かさでリラックス効果も期待できます。
毎日(もしくは1日おき程度)続けることが、体質改善への第一歩となります。
また、規則正しい生活習慣を心がけ、バランスの取れた食事、適度な運動、そして十分な睡眠をとることも、体質改善には不可欠です。
夜更かしを避け、質の良い睡眠をとることは、ホルモンバランスを整える上で非常に重要です。
ストレスを溜め込まないよう、ご自身に合ったリフレッシュ方法を見つけることも大切です。
しかし、生理周期のバラつきは、お一人お一人の体質や生活習慣、そして体の状態によってその原因が異なります。
ご自身の判断で闇雲にツボを刺激するだけでは、なかなか改善が見られないこともあります。
当院では、25年の臨床経験を持つ院長が、お一人おひとりの話を時間をかけて丁寧に伺い、脈や舌、お腹などを診て、西洋医学的な視点も踏まえつつ、東洋医学に基づいた詳細な体質診断を行います。
そして、その方の体質や症状に合わせた最適な鍼灸施術をご提供しています。
鍼は痛くなく、お灸は熱くなく、心地よいと感じていただけるような施術で、お体の内側から根本的な体質改善を目指していきます。
生理周期のお悩みは、なかなか人に相談しにくいことかもしれません。
しかし当院には、同じように生理周期の乱れに悩まれる方がいらしています。
ぜひ鍼灸院での鍼灸施術も検討ください。
全力でサポートさせていただきます。
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