メニエール病に効くツボ
メニエール病に効くツボ
つらいメニエール病で大変お困りのことと思います。
めまいや耳鳴り、難聴といった症状は、日常生活に大きな支障をきたし、不安な気持ちにさせてしまうことでしょう。
長年の臨床経験を持つ鍼灸師として、あなたの苦しみを少しでも和らげるお手伝いができれば幸いです。
メニエール病の西洋医学的説明
メニエール病は、内耳のリンパ液の異常によって起こると考えられている病気です。
主な症状
・回転性の激しいめまい
・耳鳴り
・低音域の難聴
・耳閉感(耳が詰まったような感覚)
…などです。
これらの症状は突発的に現れ、数時間持続することもあり、繰り返すのも特徴です。
とくに、強いめまいは日常生活に大きな支障を与えます。
原因は完全には解明されていませんが、内耳のリンパ液(内リンパ)が異常に増加し、内耳の圧力が高まることが関与していると考えられています。
ストレス、睡眠不足、過労、気圧の変化、食生活の乱れが発症や悪化の引き金となることが多いです。
西洋医学では、利尿剤の服用、抗めまい薬、ビタミン剤などの投薬治療や、重症の場合には手術が行われることもあります。
メニエール病の東洋医学的説明
東洋医学では、メニエール病は「眩暈(げんうん)」として捉えられます。
その原因は一つではなく、患者さんの体質や状態によって様々です。
以下に代表的な体質と、それぞれの特徴を説明します。
肝陽上亢(かんようじょうこう)タイプ
■特徴
ストレスが多く、イライラしやすい、怒りっぽい、顔が赤くなりやすい、目が充血しやすい、頭痛、肩こりなどを伴うことが多いです。
めまいは、頭がカーッと熱くなるような感覚で、血圧が高めの方にも見られます。
■東洋医学的解釈
ストレスや感情の乱れにより、肝の機能が亢進し、その熱が頭部に上昇することでめまいが生じると考えます。
痰湿(たんしつ)タイプ
■特徴
胃腸の働きが弱く、むくみやすい、体が重だるい、食欲不振、吐き気などを伴うことが多いです。
めまいは、頭が重く、雲の中にいるような、またはフワフワするような感覚で、雨の日や湿気の多い日に悪化しやすい傾向があります。
■東洋医学的解釈
飲食物の消化吸収がうまくいかず、体内に余分な水分(痰湿)が溜まり、それが頭部に影響してめまいを引き起こすと考えます。
気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ
■特徴
体力がない、疲れやすい、顔色が悪い、動悸、息切れ、食欲不振などを伴うことが多いです。
めまいは、立ちくらみのような、眼前が暗くなるような感覚で、慢性的に続くことが多いです。
■東洋医学的解釈
全身のエネルギー(気)と栄養(血)が不足しているため、脳への供給が滞り、めまいが生じると考えます。
腎虚(じんきょ)タイプ
■特徴
加齢による体力低下、腰痛、耳鳴り(ジーッという)、頻尿、足腰の冷えなどを伴うことが多いです。
めまいは、フワフワするような、またはグラグラするような感覚で、特に高齢の方に見られます。
■東洋医学的解釈
生命エネルギーの源である腎の機能が低下することで、全身のバランスが崩れ、めまいが生じると考えます。
これらの体質は単独で現れるだけでなく、複合的に現れることもあります。
東洋医学では、患者さん一人ひとりの状態を詳しく把握し、それぞれの体質に合わせた治療を行うことが重要です。
メニエール病に効果的なツボ
東洋医学では、特定のツボを刺激することで、体のバランスを整え、症状の緩和を促すことができると考えられています。
メニエール病のセルフケアとして効果的なツボを、体質別に紹介します。
東洋医学では、症状が現れている部位だけでなく、全身の状態を考慮してツボを選びます。
メニエール病の場合、耳の周りや頭部だけでなく、手足や全身のツボも用いることがあります。
基本のツボ
耳の周囲(から首の後ろのツボ)は体質に関わらず基本のツボになります。
耳の周囲をまんべんなくマッサージしてあげる意識で良いです。
※ただし、力加減はあくまで心地よいくらいの程度で行ってください。
■風池(ふうち)
耳の後ろの生え際、首の付け根にあるくぼみ。
■完骨(かんこつ)
耳の後ろの出っ張った骨(乳様突起)の後ろ下にあるくぼみ。
■率谷(そっこく)
耳の付け根の真上、指2本分ほど上がったところ。
■翳風(えいふう)
耳たぶの後ろ、骨の際にあるくぼみに位置します。耳たぶを後ろに倒すと見つけやすいです。
■聴宮(ちょうきゅう)
耳の穴のすぐ前、口を開けた時にへこむ部分に位置します。
■聴会(ちょうえ)
耳の穴のすぐ前、聴宮の少し下に位置します。口を開けた時にへこむ部分の下端あたりです。
■耳門(じもん)
耳の穴の少し上、頬骨弓の上端に位置します。
体質別おすすめのツボ
基本のツボ以外にも、自分の体質に合わせたツボを刺激するとさらに有効です。
肝陽上亢(かんようじょうこう)タイプ
■太衝(たいしょう)
足の甲にあります。足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
肝経のツボで、気の巡りを整え、イライラや精神的な緊張を和らげる効果があります。
■風池(ふうち)
首の後ろの左右のスジに指をおき、指をすり上げていきます。髪の生え際まできたら、左右外側のくぼみでいちばんへこんでいるところ。
痰湿(たんしつ)タイプ
■豊隆(ほうりゅう)
下腿(すね)の外側、膝と足首の中間あたりに位置しています。筋肉が盛り上がっている部分で、外くるぶしから親指8本分上の場所。
体内の余分な水分を取り除く効果があります。
■水分(すいぶん)
おへその上に親指をおき、そこから親指1本上がったところが水分です。
胃腸の働きを整え、吐き気や食欲不振を和らげる効果があります。
気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ
■足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
全身のエネルギーを高め、胃腸の働きを整える効果があります。
■気海(きかい)
中心線上でおへそから指幅2本下がったところです。
全身のエネルギーを補い、体力を回復させる効果があります。
腎虚(じんきょ)タイプ
■太谿(たいけい)
内くるぶしとアキレス腱のほぼ中央のくぼみにあります。
腎の機能を高め、耳鳴りやめまいを和らげる効果があります。
■腎兪(じんゆ)
まずヒジの高さを確認します。ヒジと同じ高さで背骨の両脇を親指で押して気持ちよく感じるところ。
これらのツボは、あくまで体質別の代表的なものです。
ご自身の体質や症状に合わせて、他のツボを組み合わせることも可能です。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。
「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
本格的な鍼灸施術のススメ
ご自身で行うセルフケアは、症状の緩和や体調管理に役立ちますが、メニエール病の根本的な改善には、専門的な治療が必要となる場合があります。
ご紹介したツボ押しや適度な運動、バランスの取れた食事、質の高い睡眠を心がけることは大切ですが、症状が改善しない場合や悪化する場合は、自己判断せずに専門家にご相談ください。
当院では、25年の臨床経験に基づき、あなたの体質や症状に合わせたオーダーメイドの鍼灸治療を行っています。
丁寧な問診と、脈・舌・お腹の状態を詳しく診ることで、東洋医学的な原因を特定し、全身のツボ(経穴)を使いながら、体の内側からバランスを整えていきます。
鍼は痛くなく、お灸は熱くなく、心地よい刺激で効果を引き出す施術を心がけていますので、どうぞご安心ください。
また、不妊治療や婦人科系疾患、自律神経失調症など、様々な疾患に対する豊富な臨床経験と実績があります。
メニエール病によるつらい症状から解放され、快適な毎日を取り戻せるよう、全力でサポートさせていただきます。
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