「冷え」を防ぐ江戸の知恵 |現代にも役立つ江戸の養生・3

冷えは万病のもと!江戸時代の冷え対策とは?

江戸の冷え対策・写真1

「冷えは万病のもと」とは、古くから伝えられてきた養生の考え方です。

とくに江戸時代の人々は、現代よりも寒さへの対策が必要でした。
今のように暖房設備が整っていなかったため、衣食住のあらゆる工夫で冷えを防いでいたのです。

冷えは血行不良や免疫力低下を引き起こし、生理不順や不妊、肌荒れなど、様々な不調の原因になると考えられていたからです。

江戸時代の冷え対策には、お灸や白湯(さゆ)、和漢の食材を使った食事など、現代にも通じる知恵が数多くあります。女性たちは、「温活」ともいえる生活習慣を実践し、健康を守っていました。

今回は、そんな江戸時代の冷え対策を紹介し、現代の私たちの生活に活かせる方法をお伝えします

江戸の女性が実践していた「温活」 ― 白湯・お灸・湯たんぽ

江戸の冷え対策・写真2

江戸時代の女性たちは、日々の生活の中で体を温める習慣を大切にしていました。

■白湯を飲む
江戸の女性たちは、朝起きたらまず白湯を飲む習慣がありました。
白湯は消化器を温め、内臓の働きを助けると考えられています。
現代でも、白湯を飲むことで体の巡りが良くなり、冷えの改善が期待できます。

■お灸を据える
お灸は江戸時代の庶民に広く普及していたセルフケアの一つです。
とくに女性たちは、生理不順や冷え症対策として「三陰交(さんいんこう)」というツボにお灸をしていました。
三陰交は足首の内側にあり、婦人科系の不調や冷えに効果的なツボとして知られています。

■湯たんぽを活用する
江戸時代には陶器や金属製の湯たんぽが使われていました。
寝る前に布団の中を温めることで、体を冷やさずにぐっすり眠ることができました。
現代でも、湯たんぽは電気を使わずに体を温める手軽な方法として人気があります。

食べ物で冷えを防ぐ!生姜・黒豆・根菜の効果

食事もまた、江戸時代の冷え対策において重要な役割を果たしていました。
体を温める食材を積極的に取り入れることで、内側から冷えを防いでいました。

■生姜(しょうが)
生姜は体を温める代表的な食材で、江戸時代の人々も味噌汁や煮物に入れていました。
生姜湯として飲むこともあり、寒い季節には欠かせない食材でした。

■黒豆(くろまめ)
黒豆には血流を良くする作用があり、冷え性の改善に役立ちます。
江戸時代には、黒豆を煮て食べる習慣がありました。
とくに女性たちは、冬場に黒豆茶を飲んで体を温めていました。

■根菜類(大根・ごぼう・にんじんなど)
根菜類は地中で育つため、体を温める力が強いとされています。
江戸時代の人々は、味噌汁や煮物にして食べることで、寒い冬を乗り越えていました。

冷えを改善するツボ ― 江戸の養生書にも書かれたセルフケア

江戸の冷え対策・写真3

江戸時代には、健康を維持するための「養生書」と呼ばれる書物がありました。
その中でも、冷えを防ぐために推奨されていたツボがあります。

■三陰交(さんいんこう)
足首の内側、くるぶしから指4本分上の位置にあるツボで、女性の健康に関わる重要なツボです。
ここにお灸をすることで、冷えや生理痛の改善が期待できます。

■関元(かんげん)
おへそから指4本分下にあるツボで、下腹部を温める効果があります。
冷えを感じたときに手を当てるだけでも効果的です。

■足三里(あしさんり)
膝の外側、皿の下から指4本分下のツボで、胃腸の働きを整え、体を温める力をアップする効果があります。
足の冷えやむくみにも効果が期待できます。

■湧泉(ゆうせん)
足の裏、土踏まずのやや上にあるツボで、全身の血行を促進し、足から全身を温めます。
足の冷えや疲労回復に効果的です。

これらのツボを、お灸や指圧で刺激することで、冷えを改善することができます。

現代女性の冷え対策に活かせる江戸時代の知恵

現代は暖房器具が発達しているとはいえ、冷え性に悩む女性は少なくありません。
そこで、江戸時代の知恵を活かして、日常生活に取り入れやすい冷え対策を実践しましょう。

■朝起きたら白湯を飲む

■三陰交や関元をマッサージしたり、お灸をする

■生姜や黒豆、根菜類を積極的に食べる

■湯たんぽを活用し、寝る前に足元を温める

江戸時代の人々が実践していた温活は、現代においても役立つものばかりです。
これらの知恵を活かして、冷え知らずの体を目指しましょう!