江戸時代の女性は元気だった| 現代にも役立つ江戸の養生・1

江戸時代の女性はなぜ元気だった?

江戸の養生1・写真1

「江戸時代の女性は、現代女性よりもずっと元気だった」。

そう聞くと、あなたは驚くかもしれません。
確かに、医学が発達した現代の方が、寿命は長いはず。

しかし、江戸時代の女性たちは、現代女性が抱えるような様々な健康問題を抱えにくかったという事実もあるのです。

そこには、現代人が忘れかけている、健康的な生活を送るためのヒントが隠されています。

現代の女性は、仕事や家庭、育児に忙しく、ストレスや疲労が蓄積しがちです。
冷えや自律神経の乱れ、不調を抱える方も多いのではないでしょうか?

しかし、今から約200年前の江戸時代の女性たちは、現代よりもずっと健康的に暮らしていました。

なぜ彼女たちは元気だったのか?

その秘密は「養生」という考え方にあります。

本シリーズでは、江戸時代の養生法を紐解き、現代でも取り入れられる健康習慣を紹介していきます

第1回目は、江戸時代の女性たちがどのように健康を維持していたのか、その基本的な考え方を探っていきましょう。

「養生」とは? 江戸時代の健康意識と現代の違い

「養生」とは、現代ではあまり使われなくなりましたが、心身ともに健康で長生きするために、日々の生活で気を付けることを意味します。

江戸時代の人々は、病気になってから治療するのではなく、日々の生活の中で病気にならないように心がけていました

現代では、健康診断などで数値を見てから対策を始めることが多いですが、江戸時代では、日々の体調の変化に気を配り、不調を感じたらすぐに生活習慣を見直すという考え方が一般的でした。

江戸時代の養生法には、食事・睡眠・運動・精神の安定など、現代にも通じる基本が含まれています。

しかし、現代のように医療やサプリメントに頼るのではなく、日常生活の習慣を工夫することで健康を守っていたのが特徴です

たとえば、江戸時代には「病は気から」という考えが根付いており、心の持ちようが健康を左右すると考えられていました。
また、「未病(みびょう)」という言葉も使われ、症状が現れる前に体のバランスを整えることが大切だとされていました。

では、実際に江戸時代の女性たちはどのようにして健康を維持していたのでしょうか?

平均寿命が短かった? それでも江戸の女性が元気だった理由

よく「江戸時代は寿命が短かった」と言われますが、これは乳幼児死亡率が高かったためです。

実際に成人してからは、現代と比べても健康的に長生きする人が多かったと言われています。

江戸時代の女性が健康を維持できた理由には、以下のような点が挙げられます。

■食生活がシンプルでバランスが良い

江戸時代の食事は「一汁一菜」が基本で、発酵食品や旬の野菜が多く含まれていました。

■適度な運動習慣

現代のように車や電車がなかったため、歩くことが当たり前でした。

■自然に即した生活リズム

夜更かしをせず、日が昇れば活動し、日が沈めば休むという、自然に合った生活をしていました。

このように、現代よりもシンプルで自然に即した生活が、江戸時代の女性の健康を支えていたのです。

体のバランスを整える「陰陽」の考え方

東洋医学では、自然界や人間の体は「陰」と「陽」の2つの要素で成り立っていると考えます。
陰は冷たい、暗い、静かなどを意味し、陽は暖かい、明るい、活発などを意味します。

江戸時代の人々は、東洋医学の「陰陽」の考え方をもとに、体のバランスを整えることを大切にしていました。
「陰」と「陽」のバランスが崩れると、体調を崩すと考えられていたのです。

■陰とは
冷え・静けさ・夜・水分など、落ち着かせるエネルギー

■陽とは
温かさ・活発さ・昼・熱など、活動的なエネルギー

例えば、ストレスや過労で「陽」が過剰になると、イライラしたり、体が熱っぽくなったりします。
一方で、「陰」が強すぎると、冷えや倦怠感が出ることもあります。

江戸時代の女性たちは、食事や生活習慣を工夫して、この陰陽のバランスを整えることを意識していました。

例えば、冬は体を温める食材(生姜や味噌汁)を摂り、夏は涼をとる工夫をするなど、季節に応じた養生を心がけていました。

生活リズムがカギ!江戸時代の「早寝早起き」習慣

江戸時代の人々は、現代よりもずっと早寝早起きの習慣を守っていました。
電気がなかったため、夜更かしをすることが難しく、日が暮れると自然と体を休める生活をしていたのです。

日の出とともに起床し、朝食をしっかりとる

夜はろうそくの灯りのもと、穏やかに過ごす

22時ごろには就寝し、しっかりとした睡眠を確保する

これは、現代人が忘れがちな、健康的な生活を送るための基本です。

早寝早起きをすることで、体内時計が整い、自律神経のバランスが保たれます。
また、朝日を浴びることで、セロトニンという幸せホルモンが分泌され、ストレス軽減にも繋がります。

現代にも活かせる!今日からできる江戸の養生法

江戸時代の養生法は、現代の忙しい生活の中でも取り入れることができます。

以下のポイントを意識してみましょう。

◎食事は「一汁一菜」を意識し、発酵食品を取り入れる

◎通勤や買い物など、意識的に歩く時間を増やす

◎夜はスマホを控え、自然な眠りを促す習慣をつける

◎冷え対策に白湯や温かい食事を摂る

◎陰陽のバランスを意識し、ストレスを溜めない生活を心がける

まとめ

江戸時代の女性たちは、「養生」という考え方を大切にし、自然に即した生活を送っていました。
食事・運動・睡眠のリズムを整えることで、健康を維持し、元気に過ごしていたのです。

現代の私たちも、江戸時代の知恵を活かして、日常生活に取り入れることができます。

まずはできることから始め、忙しい毎日の中でも健康を意識してみてはいかがでしょうか?

次回は、「食べ方ひとつで体が変わる!江戸時代の食養生と旬の食材」について詳しく解説していきます。
お楽しみに!