東洋医学の診察法と鍼灸|鍼灸師による東洋医学・7
東洋医学の診察法
東洋医学では、患者さんの体の状態を詳しく知るために「四診(ししん)」と呼ばれる診察法を用います。
これは「望診(ぼうしん)」「聞診(ぶんしん)」「問診(もんしん)」「切診(せっしん)」の4つから成り立っています。
それぞれについて詳しく解説し、日常生活で役立つポイントもご紹介します。
望診(ぼうしん)― 観察する診察法
望診とは、患者さんの顔色や舌の状態、体の動きなどを観察することで体調を判断する方法です。
「顔」に関して例えば、
顔色が青白い → 気血の不足や冷えが疑われる。
顔が赤い → 熱がこもっている可能性がある。
唇が紫色っぽい → 血の巡り(瘀血)が滞っている。
また、舌の色や苔の状態も重要な判断材料になります。
舌について例えば、
舌が赤くて苔が黄色い → 体内に熱がこもっている。
舌が白くて苔が厚い → 冷えや湿気の影響を受けている。
朝起きたら鏡で舌をチェックしてみると、その日の体調により舌の状態に変化があるはずです。
舌の色や苔の変化に気をつけることで、体調の変化を早めにキャッチできます。
聞診(ぶんしん)― 聴覚と嗅覚で判断
聞診では、患者さんの声や呼吸音、体臭などを観察します。
例えば、
声が小さくて弱々しい → 気が不足している(気虚)。
ガラガラとした声や咳 → 体内に痰や湿気が多い可能性。
甘い香りがする → 脾(消化器系)が弱っている。
日常生活での活用法自分の声の変化に気づくことも大切です。
普段より声がかすれている、話すのが億劫に感じるときは、体が疲れているサインかもしれません。
問診(もんしん)― 質問による診察
問診は、患者さんの体調や生活習慣について詳しく尋ねる診察方法です。
例えば、
「最近よく疲れる」「寝ても疲れが取れない」 → 気血不足の可能性。
「食欲がない」「胃もたれしやすい」 → 消化器系の機能低下。
「夜中に何度も目が覚める」 → 肝や腎のバランスの乱れ。
日常生活での活用法日記をつけて、自分の睡眠や食事の傾向を記録することで、体調の変化に気づきやすくなります。
切診(せっしん)― 直接触れて診察
切診は、患者さんの脈やお腹を触れて診察する方法です。
とくに「脈診(みゃくしん)」と「腹診(ふくしん)」が重要です。
脈が弱い、細い → 気血が不足している。
脈が力強くて速い → 熱がこもっている。
お腹が冷たい → 内臓の冷え。
お腹の特定の場所が硬い → 気の滞りや瘀血(おけつ)がある。
日常生活での活用法お腹を触って冷たいと感じる場合は、温める習慣をつけましょう。
腹巻きや温かいお茶を飲むことで、内臓を冷えから守れます。
鍼灸治療のしくみ ― 経絡とツボの不思議
東洋医学では、体には「気(き)」や「血(けつ)」が流れる道筋があると考えられており、これを「経絡(けいらく)」といいます。
経絡には「ツボ(経穴)」が点在し、ここに鍼やお灸をすることで体のバランスを整えます。
経絡とは?
経絡は、全身を巡るエネルギーの通り道であり、主要なものは「十二経脈(じゅうにけいみゃく)」と呼ばれます。
例えば、
胃経(いけい) → 消化器系の働きと関係が深い。
腎経(じんけい) → 生命力やホルモンバランスに影響を与える。
肝経(かんけい) → ストレスや感情の調整に関与する。
ツボ(経穴)とは?
ツボは、経絡上に存在し、気血の流れを調整するポイントです。
代表的なツボをいくつか紹介します。
合谷(ごうこく)(手の甲) → 頭痛やストレス緩和に効果的。
足三里(あしさんり)(膝の下) → 胃腸の調子を整え、疲労回復に役立つ。
三陰交(さんいんこう)(内くるぶしの上) → 冷えや生理痛の改善。
鍼灸治療の効果
鍼灸治療は、様々な症状に効果が期待できます。
痛み:
肩こり、腰痛、頭痛、生理痛など
消化器系の不調:
胃もたれ、便秘、下痢など
精神的な不調:
ストレス、不安、不眠など
その他:
冷え、むくみ、アレルギー疾患など
鍼灸が役に立てる病気に関しての詳しくはこちら
まとめ
東洋医学は、古代中国から伝わる伝統医学であり、現代医学とは異なる独自の考え方を持っています。
しかし、その知恵は、現代人の健康維持にも役立つと考えられます。
東洋医学の診察法「四診」を知ることで、体の不調を早めに察知できるようになります。
また、経絡やツボの仕組みを活用すれば、日常生活でも簡単なセルフケアが可能です。
毎朝、鏡で舌をチェックしたり、手足のツボをマッサージしたりすることで、健康維持に役立ててください。
鍼灸や漢方を上手に取り入れて、自然のリズムに沿った生活を送りましょう。