春分|鍼灸師が教える二十四節気の健康法
春分の今できる健康法について
春分は、二十四節気の4番目に位置し、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。
太陽が春分点(黄道と天の赤道が交差する点)を通過する時を指します。
暦の上では、この日から夏至までの期間を「春」と呼びます。
春分の時期は、冬の寒さが和らぎ、草木の芽吹きや花の開花など、生命の息吹が感じられる時季です。
また、農作業を始める目安ともされており、種まきや田植えなど、農家にとって重要な時期となります。
昔から、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」として国民の祝日にも制定されています。
日本では春のお彼岸とも重なり、祖先を供養する習慣もあります。
東洋医学では「肝」の働きが盛んになる時期とされ、気血の巡りが影響を受けやすくなります。
このため、春の不調を防ぐには「肝気のバランス」を整えることが重要です。
とくに自律神経の乱れやストレスによる体調不良が起こりやすくなるため、生活習慣の見直しが健康維持のカギとなります。
春分の頃に起こりうる心身の不調
春分の頃は、冬の陰の気から春の陽の気へと移行する時期です。
この変化により、自律神経の乱れや気血の巡りの悪化が起こりやすくなります。
とくに影響を受けやすいのは「肝」の機能です。
東洋医学でいう「肝」は、西洋医学の肝臓の働きに加え、自律神経や気の流れの調整を担っています。
そのため、この時期は「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼ばれる気の滞りが起こりやすく、次のような症状が現れます。
情緒不安定やイライラ
春は「肝」の季節であり、感情と深い関係があります。
「肝」がスムーズに働かないと、ストレスを受けやすくなり、イライラや不安感が増します。
とくに環境の変化が多い春分の時期は、精神的な負担が大きくなります。
頭痛やめまい
「肝」は血を蓄える働きを持ち、気血の流れを調整します。
「肝」の働きが乱れると、血流が滞り、頭部の血行不良や過剰な興奮が生じます。
その結果、片頭痛やめまい、目のかすみなどの症状が現れます。
消化器の不調
「肝」が気を滞らせると、「脾胃(ひい)」の働きにも影響します。
これにより、食欲不振、胃もたれ、腹部膨満感、便秘や下痢などが起こりやすくなります。
とくにストレスによる胃腸の不調が目立つのも春分の特徴です。
アレルギー症状の悪化
春分の時期は花粉症のピークとも重なります。
「肝」の不調により免疫バランスが乱れ、花粉症の症状が悪化することがあります。
目のかゆみ、鼻水、くしゃみだけでなく、肌荒れや湿疹などの皮膚症状が出ることもあります。
睡眠の質の低下
「肝」は血の貯蔵を司り、夜間の休息に関係します。
「肝」の気が高ぶると、夜になってもリラックスできず、不眠や浅い眠りの原因になります。
とくに、考え事が多い人やストレスが強い人は、寝つきが悪くなりやすいです。
春分の不調を避けるためにできる健康法
春分の不調を防ぐには、「肝」の働きを整え、気血の巡りをスムーズにすることが大切です。
そのための健康法を紹介します。
リズムのある生活を心がける
春分は昼と夜の長さが等しいため、このバランスを意識した生活が重要です。
早寝早起きを心がけ、規則正しい生活リズムを作ることで、自律神経のバランスを整えます。
とくに夜更かしは「肝」の血を消耗するため、避けるようにしましょう。
ストレスを溜めない工夫をする
ストレスは「肝気鬱結」を引き起こします。
気分転換を意識し、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を習慣にしましょう。
また、深呼吸や瞑想を取り入れることで、リラックス効果を高めることができます。
春の食養生を取り入れる
春は「肝」に負担がかかるため、食事でサポートすることが大切です。
青菜類(ほうれん草、小松菜、春菊など)は「肝」の働きを助け、気血の巡りを改善します。
また、酸味のある食べ物(梅干し、酢の物、柑橘類)は「肝気」の流れを整えます。
ただし、酸味が強すぎると逆効果になるため、適度な量を心がけましょう。
適度な運動で気の流れを良くする
運動不足は気血の巡りを悪くし、不調を引き起こします。
とくに春分の時期は、ゆったりとした運動(ヨガ、太極拳、ストレッチなど)が適しています。
これにより、「肝」の気の流れを促し、ストレスを軽減できます。
目のケアを行う
「肝」は目とつながりが深いため、春分の時期は目を酷使しないよう注意が必要です。
長時間のスマホやパソコン作業を避け、適度に休憩を取りましょう。
また、温かいタオルを目に当てると血流が改善し、目の疲れを和らげる効果があります。
春分の頃の食事ポイント
旬の食材を食べる
旬の食材は栄養価が高く、身体に良い影響を与えます。
温かい食事を摂る
冷たい食事は身体を冷やし、消化器系の負担を大きくします。温かい食事を摂るように心がけましょう。
消化の良いものを食べる
消化器系の機能が低下しやすい時期なので、消化の良いものを食べるように心がけましょう。
水分補給
汗をかきやすい時期なので、こまめな水分補給を心がけましょう。
カフェインやアルコールを控える
カフェインやアルコールは、自律神経を乱しやすく、不眠やイライラの原因になります。
その他
服装に気を付ける
気温の変化に対応できるよう、重ね着をするなどして、服装に気を配りましょう。
アロマテラピー
リラックス効果のあるアロマオイルを焚いたり、アロマバスを楽しむのも良いでしょう。
鍼灸治療
鍼灸治療は、自律神経のバランスを整え、心身の不調を改善する効果が期待できます。
春分の不調に効果的なツボ
春分の時期に起こりやすい不調に効果的なツボを3つご紹介します。
・合谷(ごうこく)
場所: 手の甲側、親指と人差し指の骨が交わるあたり、やや人差し指寄りのくぼみにあります。
効果: 合谷は「万能のツボ」とも呼ばれ、全身の気の巡りを整え、免疫力を高める効果があるとされています。
頭痛、肩こり、目の疲れ、鼻炎、便秘などに効果があります。
自律神経のバランスを整える作用もあります。
・内関(ないかん)
場所:手首の内側、手首のしわから指3本分肘側にあるツボです。
効果:心包経の経穴であり、精神を安定させ、吐き気や動悸を鎮める効果があるとされています。
精神的な不安や吐き気、消化不良などに効果的です。
・足三里(あしさんり)
場所:膝の外側、膝のお皿から指4本分下のところにあるツボです。
効果:胃腸の不調、便秘、下痢、足の疲れなどに効果があります。
免疫力を高める作用もあります。
これらのツボを、指圧や温灸などで刺激すると良いでしょう。
当院の鍼灸治療について
当院では、春分の時期に起こりやすい心身の不調に対して、鍼灸治療を行っています。
患者様の症状や体質に合わせて、適切なツボを選び、鍼灸を施します。
鍼灸治療は、自律神経のバランスを整え、気血の流れを改善することで、様々な不調を改善する効果が期待できます。
春分の不調でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
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