労災保険で鍼灸治療を受ける手続き方法

労災で鍼灸

労災(労働災害補償保険)を使って鍼灸を受けられます

労災は「聞いたことはあるけど詳しくは知らない」という人が少なくないはずです。
仕事や通勤中に怪我や病気をした際に、労災を申請すると治療費や生活費の補償などを受けられる保険のことです。

鍼灸院に関しては、労災と認定されれば、患者さんは労災を使って鍼灸治療を受けていただくことができます

しかし一般の方の労災自体の認知もままならないなか、鍼灸院でも、労災を扱った経験は少ないのが現実かと思います。
正直申しますと、当院でも実際に労災での鍼灸を受けた方はいません(修行先の鍼灸院ではありました)。

ただし、労災に該当する病気やお悩みに鍼灸がお役に立てることも少なくないはずです。
できれば一人でも多くの人に活用してもらいたいです。

今回は患者さんが労災で鍼灸治療を受けたいと考えた際の手順を書いていこうと思います。

施術を受ける鍼灸院が「労災取り扱い」かどうか確認する

治療を希望する鍼灸院が労災取り扱いの届け出をしているか確認します。
※ちなみに当院は「労災取り扱い」鍼灸院です。

●届出済みの鍼灸院は「必要書類を鍼灸院に提出することで、窓口料金はゼロ」になります。

●届け出をしていない鍼灸院の場合は、「窓口で全額料金を鍼灸院に支払い」、のちに患者さんご自身が「必要書類ともども施術費用も労基署に請求」します。
結局は無料になりますが、いったん治療費を毎回窓口で支払う必要があるのと、書類を自分で労基署に提出する必要があります。
労災取り扱いでない鍼灸院で施術を受けると、手間がちょっと面倒くさい、ということです。

労災を受けるまでの必要な手順

労災保険を取り扱う機関は「労働基準監督署」(労基署)です。
まずはお住まいを管轄する労基署をネットなどで調べ、そちらにお問合せいただくと親切に教えてくれます。
実際の申請・承認も管轄の労基署になります。

以下は簡単に労災を使う際の流れを書きます。

1)まず医師の『診断書』が必要です。

診断書(障害補償給付請求用)(様式第10号用)

※病院が常備している診断書とは違いますので注意ください。
診断書は初診時と治療が6ヶ月を超える場合には再度必要になります。

2)『労災請求書』を入手・記載します。

療養補償給付たる療養の費用請求書(はり・きゅう)_業務災害用(様式第7号(4))

療養給付たる療養の費用請求書(はり・きゅう)_通勤災害用(様式第16号の5(4))

仕事中か通勤中かで用紙が異なります。
該当する方を用意ください。

以上の用紙は、労働基準監督署からもらうか、下記の厚生労働省サイトからダウンロードすることで使用可。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html

請求書は、自分で記入するものや会社側に必要事項を記入してもらうものなどがあります。

3)1・2の用紙を持参して鍼灸院へ来院する。

手続き的にはこれで終了です。

請求書は1ヶ月に1枚必要ですので、2ヶ月目に入ったら再び請求書をご用意ください。
(※先ほども書きましたが「診断書」は6か月有効です)

あとは鍼灸施術を受けて一日でも早く回復していただきたいと思います。

労災についての注意事項

まず最終的に「労災で鍼灸治療をおこなっても良い」と判断するのは労基署です
労基署で認められなければ労災からは労災補償は受けられません。

また、そもそも医師が診断書の発行を拒否するケースもあります
診断書がない場合も、労災で鍼灸治療はできないことになります。

このように労災鍼灸を受けるまでには、いくつかステップを踏む必要があります。
これが済んでいない段階から鍼灸を受けようとした場合には、正式に認定されるまでは鍼灸院としては自費を徴収することになると思います。
そして認定されたあとに治療費を返金します。
これは費用のトラブルを避けるためです。

【保険で出る施術費用】
初検料2,980円・施術費(鍼灸併用)4,070円・電気など追加したら550円加算(2022年10月改定)。
★詳しくはこちら
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/gaiyou/dl/rousaihoken-02_01.pdf

以上、ざっと労災について調べてみましたが、最終的な確認はお近くの労働基準監督署等々にお問い合わせくださいね。

また、「労災の鍼灸は手続きが大変そう…」とお感じになったかもしれません。
たしかに。
でも、こういう手続きは大変なのは最初だけで、軌道に乗ればそこまで手間はかかりません。
労災でケガなどをされてしまい、早く治したいとお考えの方には、鍼灸という方法あることを知っていただき、うまく活用していただければと思います。

実際に労災を使いたい人へのまとめ

1)労働基準監督署に「鍼灸で労災を使いたいのだが…」と問合せしてみてください

2)診断書と請求書を用意してください
●医師の「診断書」
●「労災請求書」(業務用か通勤用)

3)施術を受ける

4)実費で支払う
初検料2,980円・施術費(鍼灸併用)4,070円・電気など追加したら550円加算(2022年10月改定)。
鍼灸の支払いが労災から出るかどうかは労基署の判断です。
書類を提出して、実際に認定されて初めて保険が出ます。
ですので認定までは、実費をお支払いいただきます。

5)労災認定されたら今までの費用を返金

以上の流れで進みます、宜しくお願い致します。