鍼灸師のスタンスは孤独の道
鍼灸院も着眼点次第
毎年参加しています三旗塾の中医オープン講座に今年も行きました。
鍼灸業界の真面目な・面白い・凄い先生を招いて話をしてもらう講座です。
今回も大変興味深い話でした。
今回のテーマは、一人目の講師の先生は「バストアップ鍼灸」で、二人目の講師の先生は「鍼灸・気功・手技療法の関係」でした。
どこに視点を置くかの違いを示す2話だったように感じました。
もちろん短い時間の講義だけですので、講師の先生の真意をきちんと把握できているなどと言うつもりはありません。
こちらが勝手に咀嚼して解釈したものを書きます。
ご了解ください。
バストアップ鍼灸
まず対象が女性のバストですからね、まったく未知の領域。
私は「アンダーバストって何?」レベルですので…(^^;)
本来は女性鍼灸師向けでしょうから、逆にこういう機会でないと聞けない(聞かない)テーマだったので興味深く聞きました。
まずはバストアップに鍼灸が効果あるということ。
それを雄弁に語るのはビフォーアフターの写真です。
たしかに変わっているのは分かりました。
ただし、
「施術内容は話さない」ということで講師依頼を受けたと仰っていたので、どのような施術をして効果を出すのかはブラックボックス。
自律神経を整えることがその結果に通じるらしいです。
まぁ対象がバストアップなので、詳しく施術方法を説かれたとしても、再現性があるか追試できるわけもないのでそれはそれでよいです(^^;)
それ以上に、女性がバストアップに非常に深い悩みを抱えている(らしい)ことを知ることができたのが大きかったです。
「バストの悩みに応える鍼灸」というニーズをつかんだ方針を打ち出しているのが素晴らしいです。
『治療方法があって、症状があって、結果がある』のではなく、『人がいて、悩みがあって、それに応える方法があって、結果がある』という流れの違い。
もしくは、悩みにフォーカスしてサービス提供することの高い効果、を感じます。
この講師の先生の成り立たせ方が、このような発想に基づいているのを知ることができたのはよかったです。
鍼灸、気功、手技療法の関係性
一方こちらは『体をどうみるのか?』にフォーカスするスタイルでした。
講師の先生は「体をどうみるか」に興味関心を持っているので、結果的にその道を詳しく研究されているのだと感じました。
鍼灸的(東洋医学的)切り口の強みと弱みとは?
解剖学的な構造論で体をみていく強みと弱みとは?
気功などのエネルギー的な体のみかたの是非は?
…そんな話。
病を治すために体をどう見ていくのが正解かを追求し、講師の先生が行き着いた「考え」をご教授いただけたわけです。
そこには人間や生活や人生などの要素は少ないけど、病めるカラダにどう対処するかを突き詰めていく姿勢が感じられました。
大事なのは、カラダの構造だ、と。
整った構造こそ健康(=治癒)のキモだ、と。
そのためには、気功も有効、手技療法も有効、だと説きます。
全くその通りだな、と思いました。
着眼点
今回は実技がなかったので、両先生の技術的な差異は分かりません。
ただ、両先生のスタンスの違いはかなり見て取れました。
鍼灸師としてのスタンスと同時に鍼灸院としてのスタンスも違います。
それはおそらく両先生のリソース(人柄・歴史・興味関心・得手不得手・出来る事・治療に求めるもの・治療院に求めるもの…)の違いから発するものでしょう。
すべての人に当てはまります。
「人は人、己は己」…ってこと。
施術にフォーカスするのか、病にフォーカスするのか、カラダにフォーカスするのか、人にフォーカスするのか。
どこに視点を据えるかで大きく違ってきます。
着眼点です。
話を聞きながら自分自身のスタンスを思いました。
私は人間や人生の物語にとても興味があり、病気でも何でもとにかく何かで人生が大きく揺さぶられる時にその助けになりたい、と考えています。
鍼灸という方法は有効性が高いので主軸に使っていきますが、あくまで並走したい(助けになりたい)がメインの思いです。
そのために施術も学びたいし、多くの人に出会える環境を持ちたいし、鍼灸の有効性を知ってもらいたいと思います。
その活動すべてを総合的に高めていくことで、結果的に仕事しても成り立つのだと考えています。
こういうスタンスの話は正解のない話で、皆が皆自分だけの答えを持っています。
自分の道は自分だけにしか歩めませんから。
だから、そのスタンスの話を互いにしても分かり合うことはできないだろうと思います。
その道はみな孤独です。
でも、それは心地よい孤独だと思うのです。
自分らしくやっていきましょう(^^)/