治療では、いくつ・どんなツボ使う?

治療の際に使う鍼は1本?10本?100本?

「まぁ、どうだっていいやね(苦笑)」と言いたいです。
みな、好きにしたらいいのです。
「1本の方がコストがかからないよね」とか「セイ●ンの鍼で1回50本使用とかあり得んだろう」とか経営目線での邪念をはらませつつ…。
これは脱線。

「いやいや、やたら刺すのは害になるのでは…」とか「やはりしっかり必要な刺激量を与えないと効果が出ないのでは…」など、言いたいこともあるでしょうが、おそらく「正しい答え」はありません(…と思います)。

私自身の感覚としては、『より確実性の高い経穴を、少数厳選して、治療効果を引き出す手技をするのが理想だろう』とは考えています
ひとつのツボだけに鍼して治せるような、そんな少数穴治療が鍼灸の最終理想形かもしれません。

ただ、それは理想の話。

実際上(マイ治療16年春ver.)では、使用経穴数は自分の見立てに見合うツボ数であればよいと考えています
だいたい10穴程度使うことが多いです。
臓腑から、経絡から、穴の効能から、(あと若干勘で)経穴を決めています。

例:膀胱経上の腰痛(腎虚)。
「腎」を意識して太渓・腎兪・関元(の辺り)。
「経絡」を意識して大腸兪(局所)・崑崙・後渓。
「気虚」を意識して足三里。

「安易だけど大事なツボだしこれでいいじゃん」と考えます。

余談:
上記の例は「配穴」の話。ここからさらに「取穴」につながっていくので本当の本当に鍼をするのは数・場所ともに少々変わってきます。
カレーの箱に書いてあるレシピが「配穴」部分。実際に冷蔵庫開けて取りだす野菜に若干アレンジがあるのが「取穴」部分です。

 

現状では理想形で言った「1~2穴の少数穴」にはたどり着けていません。
同時に、絞り込む知識・センス・根拠や絶対的な必要性をそこまで感じていないことも事実です。
イメージとしては「排気ガスを出さない車が理想だけど、今は燃費が良いガソリン車を作ることに一生懸命」みたいな感覚でしょうか。(…分かりますかね??)

 

また、経穴の選択肢として『汎用性の高いツボ』をなるべく選ぶようにします
「汎用性が高いツボ」とは、効能が多い・反応がとりやすい(“ツボ感”がある)・有名穴(“レジェンド感”がある)あたりを言います。
イメージとしては「運動会と言えば『剣の舞』だよね」(気虚と言えば足三里だよね)という感じでしょうか。(…また分かりづらい?苦笑)

ともかく、汎用性が高いツボは使うことで、自分が意図しないような嬉しい副次的効果(いろいろ効いてしまうような…)もありますので、それまで見据えて“難しいツボ”は控えめにしています。
「わざわざ手入れが難しいクラシックカーは選ばなくていいでしょう」という感じです。(…これも分かりづらい??)

自分なりのシンプルさが一番重要です。