慢性腎臓病（CKD）
慢性腎臓病とは？
慢性腎臓病（CKD）は、腎臓の機能が徐々に低下する疾患の総称で、長期間にわたって進行するのが特徴です。
主な原因として、「高血圧」や「糖尿病」、「慢性糸球体腎炎」などが挙げられます。
腎臓は血液をろ過し、不要な老廃物を尿として排出する役割を担っていますが、その機能が低下すると体内に毒素が溜まりやすくなります。
初期は自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行することが多く、進行するとむくみや疲労感、高血圧などの症状が現れます。
さらに悪化すると腎不全に至り、人工透析や腎移植が必要になるケースもあります。
慢性腎臓病（CKD）の西洋医学的な治療法
現在、慢性腎臓病の根本的な治療法はなく、病気の進行を抑え、腎不全への移行を防ぐことが目的です。
以下のような方法が一般的に用いられます。
原因疾患の治療
CKDの原因となる疾患（糖尿病・高血圧・慢性糸球体腎炎など）をコントロールすることが重要です。
■糖尿病の管理
血糖値を適切にコントロールし、腎障害の進行を防ぐ（インスリンや経口血糖降下薬を使用）。
■高血圧の治療
降圧薬（ACE阻害薬・ARBなど）を使用し、腎臓への負担を減らす。
生活習慣の改善
■食事療法
・塩分（ナトリウム）を控え、1日6g未満にする。
・たんぱく質摂取を制限し（体重1kgあたり0.6〜0.8g/日）、腎臓の負担を減らす。
・カリウム・リンの摂取を管理し、電解質バランスを維持する。
・水分摂取量を適切に調整し、むくみや血圧上昇を防ぐ。
■運動
適度な有酸素運動（ウォーキングなど）で血圧・血糖をコントロール。
■禁煙
喫煙は腎機能を低下させるため、禁煙が推奨される。
薬物療法
■降圧薬（ACE阻害薬・ARB）
腎臓の負担を減らし、尿タンパクを減少させる。
■利尿薬
体内の余分な水分を排出し、むくみや高血圧を改善。
■貧血の治療（エリスロポエチン製剤）
腎性貧血を改善する。
■リン吸着薬
リンの過剰を抑え、骨の異常を防ぐ。
透析・腎移植（末期腎不全の場合）
腎機能が著しく低下（eGFRが15mL/分未満）すると、腎代替療法（透析・腎移植）が必要になります。
慢性腎臓病を放置するとダメな理由
慢性腎臓病を放置すると、腎機能が徐々に低下し、最終的には腎不全へと進行します。
腎臓の働きが低下すると、体内の老廃物や余分な水分を排出できず、高血圧や心血管疾患のリスクが高まります。
また、電解質バランスが崩れ、カリウム値の異常や代謝性アシドーシスを引き起こし、命に関わる状態になることもあります。
さらに、慢性腎臓病は自覚症状が少ないため、気づいた時にはすでに病状が進行していることが多く、早期の対応が重要です。
一度低下した腎機能は回復が難しく、病状が進めば透析が必要になります。
そのため、定期的な検査と適切な管理を行い、進行を遅らせることが不可欠です。
東洋医学の強み｜自然治癒力を引き出す施術
西洋医学は、「症状を抑えること」が得意です。
例えば、頭痛なら痛み止め、炎症なら抗生剤といった具合に対処します。
一方、東洋医学は「症状の原因となる体質」に着目し、体全体のバランスを整える「体質改善」を目指します。
頭痛ひとつとっても、血流の滞り・冷え・ストレスなど原因はさまざま。
鍼灸は、その人に合ったツボを刺激し、本来の治る力を引き出します。
不調の原因は目に見える症状だけではなく、体の内側のバランスの乱れにあります。
例えるなら、私たちの体は、大河を流れる水のようなもの。
血液や気（エネルギー）が滞りなく巡ることで、健康という豊かな流れが保たれます。
しかし、ストレスや不規則な生活習慣によって、川のどこかに泥や石が溜まり、水の流れが悪くなってしまうことがあります。
それが体の不調として現れるのです。
鍼灸は、川の流れを整える水路の管理人のようなもの。
滞った部分を取り除き、スムーズな流れを取り戻すことで、体全体が元気に機能するように導きます。
東洋医学は、2千年の経験値を持つ体質改善の医学です。
鍼灸では「脈・舌・お腹」を診て、気・血・水の流れを察し、ツボ（経穴）に刺激を与えることで、全身の調和を取り戻します。
東洋医学からみた慢性腎臓病
東洋医学では、腎は「生命の源」とされ、成長・発育・生殖・老化などを司る重要な臓器と考えられています。
慢性腎臓病は「腎虚（じんきょ）」の状態にあたり、体の中の気血水のバランスが崩れることで発症するとされています。
おもなタイプとしては、
・腎気虚（じんききょ）
・腎陽虚（じんようきょ）
・腎陰虚（じんいんきょ）
・脾腎両虚（ひじんりょうきょ）
・肝腎陰虚（かんじんいんきょ）
・水湿内停（すいしつないてい）
・瘀血阻滞（おけつそたい）
…などが挙げられます。
例えば、
倦怠感や腰のだるさ、頻尿などがみられる場合は腎気虚とみます。
さらに、腎の水が不足する（腎陰虚）と、体が乾燥しやすくなり、口渇や皮膚のかゆみ、寝汗が現れます。
腎の陽が不足する（腎陽虚）と、冷えやむくみ、疲れやすさが顕著になります。
さらに、腎は「水」を管理するため、腎機能の低下によって水分代謝が悪化し、浮腫（むくみ）や排尿異常が発生しやすくなります。
そのため、鍼灸治療では腎の働きを補い、全身のバランスを整えることで症状の改善を図ります。
このように、症状を詳しく分析し、それぞれのタイプに合わせた鍼灸治療を行います。
慢性腎臓病に効く代表的なツボ
■腎兪（じんゆ）
場所:
第二腰椎棘突起下縁の外方1寸5分。おへその高さの背骨の両脇にあります。
効果:
その名の通り、腎の気を補い、機能を高める代表的なツボです。
腰痛や頻尿、むくみなど、腎虚による様々な症状に効果を発揮します。
慢性腎臓病においては、弱った腎の働きを助け、体全体のバランスを整えるために重要なツボとなります。
■太谿（たいけい）
場所:
内くるぶしとアキレス腱の間にある、くぼんだ部分です。
効果:
腎経の原穴であり、腎の精気を最も集める場所とされています。
「腎は水を主る」ため、太谿を刺激することで、体内の水分代謝を促し、むくみや排尿トラブルの改善に効果が期待できます。
また、腎陰を補う作用もあるため、口渇やほてりなどの症状にも有効です。
■足三里（あしさんり）
場所:
膝のお皿の下、指4本分下の外側にあります。
効果:
胃経のツボですが、脾胃は後天の気を生み出す源であり、全身の栄養状態を左右します。
慢性腎臓病では、食欲不振や消化不良が見られることも多いため、足三里を刺激することで胃腸の働きを整え、全身の気血の流れを改善します。
また、足三里は全身の強壮作用もあるため、慢性的な倦怠感の改善にも役立ちます。
他にも多くのツボがあり、それらを組み合わせることで最大限の効果を発揮させます。
慢性腎臓病でお悩みのあなたへ院長より
当院の鍼灸施術は、東洋医学の理論に基づき、全身のバランスを整える鍼灸を行い、腎の働きを高めるツボを的確に刺激します。
長年の臨床経験に基づき、脈やお腹の状態を丁寧に診察し、腎の「気」を補い、むくみや冷え、疲労感を軽減する施術を提供します。
さらに、ストレスや不眠の改善にも力を入れ、心身の負担を和らげることが可能です。
腎臓への直接的なアプローチに加え、全身の血流改善や自律神経の調整、免疫力の向上を図ることで、倦怠感、むくみ、食欲不振、かゆみといった辛い症状の緩和が期待できます。
また、時間をかけて患者様のお話をお伺いし、不安な気持ちに寄り添いながら、安心して治療を受けていただけるよう努めます。
薬だけに頼らず、自然な方法で体調を整えたい方におすすめです。
「病院以外で何かないか？」と考えた際には、鍼灸を試してください。
慢性腎臓病鍼灸のよくある質問と回答
Q: 慢性腎臓病の鍼灸治療の目的は何ですか？
A: 病気の進行を食い止め、今の状態を長く保つことが目的になります。
すでに失われた腎機能が鍼灸で回復することは難しいですが、症状の緩和とQOL（生活の質）の向上に貢献できます。
具体的には、倦怠感、むくみ、食欲不振、かゆみといった辛い症状を和らげ、少しでも快適な日常生活を送れるようなサポートです。
また、全身のバランスを整え、体質を改善することで、病気の進行を緩やかにすることも期待できます。
西洋医学的な治療と並行して行うことで、より良い効果を目指します。
Q: どんな人が慢性腎臓病の鍼灸治療を受けていますか？
A: 当院では、倦怠感やむくみ、食欲不振、かゆみなどの症状にお悩みの方、透析をできるだけ避けたい方、西洋医学的な治療と並行して体質改善を目指したい方など、様々な方がいらっしゃいます。
お一人おひとりの状態に合わせて、丁寧に施術させていただきますので、ご安心ください。。
Q: どのくらいの期間続ける必要がありますか？
A: 症状の重さによりますが、通常は数週間から3ヶ月の継続的な治療が必要です。
Q: 鍼灸が不安改善にどのように役立つのですか？
A: 鍼灸施術は自律神経の調整とストレス軽減に効果的ですので、自律神経機能を整えて腎臓機能の改善に役立ちます。
Q: 施術の頻度はどのくらいですか？
A: 施術の頻度は個別の状態によりますが、通常は週に1回が一般的です。
Q: 薬と鍼灸治療は併用できますか？
A: はい、薬と鍼灸治療は併用することができます。
ご不安な場合は医師の指示を仰いでください。鍼灸は西洋医学と互いに補完しあう療法として相乗効果が期待できます。
Q: 鍼やお灸は痛いですか？
A: いいえ、極力痛みを感じないよう心地よく施術します。鍼は痛くなく、お灸は心地よい温熱感が特徴です。
Q: 鍼灸治療中に他の治療を受けても大丈夫ですか？
A: 他の治療との併用は個別の状況によります。鍼灸師と相談してください。
Q: 鍼灸の安全性はどうですか？
A: 鍼灸は安全で、国家資格を持つ専門家によって提供されます。感染症のリスクはほとんどありません。
Q: 鍼灸治療の副作用はありますか？
A: 通常、副作用はほとんどありません。治療後に軽い疲労感があることがあります。
安全性が高く、副作用の心配はほとんどありませんが、個人によっては軽度の赤みや内出血が現れることがあります。
Q: 鍼灸治療は保険が効きますか？
A: 申し訳ございません。当院の鍼灸施術は実費となります。
Q: どのようにして鍼灸の効果を最大限に引き出すことができますか？
A: 鍼灸治療の成功には生活習慣や食事の改善が重要です。鍼灸師がアドバイスします。
Q: 鍼灸治療の効果を感じるまでに時間がかかりますか？
A: 効果を感じるまでには個人差がありますが、通常は数回の治療後に改善を実感できることがあります。
初回の施術後から体調の変化を感じる方もいらっしゃいますが、持続的な改善のためには継続的な治療が必要です。
Q: 慢性腎臓病以外の症状も同時に治療できますか？
A: はい、他の症状や不調も同時に治療できます。
肩こり・頭痛・便秘下痢・慢性疲労・ストレス・冷えなど、複数の不調に同時並行して治療します。
