体温が低いと何がいけないの?|東洋医学の視点
体温が低いと良くないワケ

「平熱が35度台」という方、意外と多いのではないでしょうか?
なんとなく不調が続いている…それ、もしかすると“低体温”が原因かもしれません。
今回は、東洋医学の視点から「体温が低い」とはどういうことか、なぜいけないのか、どうすれば改善できるのかをお伝えします。
体温が低いってどういう状態?
一般的に、平熱が36度未満は“低体温”と考えられます。
ただし、個人差も大きいため、35度台であっても特に不調を感じなければすぐに問題とは言えません。
しかし、35.5℃以下が続いている場合や、慢性的な冷えを感じている方は、体の内側で何かしらの機能低下が起きている可能性があります。
現代社会では、35度台が当たり前という方も少なくありません。
冷房のきいた室内での長時間労働、運動不足、薄着の習慣、冷たい飲食物の摂りすぎ…。これらはすべて、体を内側から冷やす原因です。
気づかないうちに「なんとなく冷えている」状態になっている人はとても多く、それが体温の低下を招いています。
とくに女性に多く見られるこの状態は、ストレスや不規則な生活、運動不足、過度なダイエットなどが複合的に絡み合っていることが多いです。
季節を問わず「なんとなく冷えている」「手足がいつも冷たい」と感じる方は、低体温のサインかもしれません。
低体温だと、なぜいけないのか?
体温が低い状態が続くと、体には様々な不調が現れやすくなります。
まず、免疫力の低下は避けられません。
体温が1度下がると免疫力が30%以上低下するとも言われ、風邪をひきやすくなったり、病気からの回復が遅れたりする原因になります。
次に、血流が悪くなり、疲れやすくなるという問題です。
血液は酸素や栄養を全身に運び、老廃物を回収する重要な役割を担っています。
体温が低いと血流が滞り、細胞への栄養供給が滞り、老廃物が溜まりやすくなるため、慢性的な疲労感につながります。
また、冷えは自律神経の乱れと密接に関わっています。
体が冷えると自律神経のバランスが崩れ、めまい、動悸、不眠といった様々な症状を引き起こす悪循環に陥ることもあります。
そして、女性にとって見過ごせないのが、妊娠しづらくなる可能性です。
低体温は子宮や卵巣の血流を悪化させ、ホルモンバランスにも影響を与えるため、不妊の一因となることがあります。
実際に、不妊治療を受けていらっしゃる方の中には、低体温でお悩みの方も多くいらっしゃいます。
東洋医学からみた「低体温」とは?
東洋医学では、体を温めるエネルギーのことを「陽気(ようき)」と呼びます。
低体温の状態は、この陽気が不足している「陽気不足」がキーワードとなります。
体に必要な熱が足りていない、あるいは熱を作り出す力が弱い状態だと考えるのです。
東洋医学における“冷え”にはいくつかの種類があります。
■陽虚(ようきょ)
体を温める陽のエネルギーが不足している状態。
慢性的な冷えが顕著で、手足の冷えはもちろん、内臓の冷えも伴うことがあります。
■瘀血(おけつ)
血の滞りによる冷え。
熱は血液によって全身に運ばれることで全身を温めます。
血流が悪くなると、この「熱の運搬」がうまくいかず熱が一部に留まってしまい、末端や本来温まるべき部分に届かなくなると冷えやすくなります。
■血虚(けっきょ)
血(けつ)が不足していることによる冷え。
顔色が悪く、めまいや乾燥などの症状を伴うことがあります。
これらの冷えは、体の臓器と深く関係しています。
生命活動の根源となるエネルギーを司る「腎(じん)」や、消化吸収とエネルギー生成を担う「脾(ひ)」の機能が弱っていると、体温が下がりやすいと考えます。
低体温を改善する鍼灸院でのアプローチ
当院では、東洋医学の理論に基づき、お一人おひとりの体質や冷えのタイプに合わせた施術を行います。
鍼灸で“陽気”を補い、巡らせることが低体温改善の鍵となります。
鍼は0.16mmと髪の毛よりも細いものを使用するため、痛みはほとんどありません。
ツボを刺激することで、体本来の温める力を引き出し、血液や気の巡りをスムーズにします。
また、お灸の温めパワーで“冷え”を追い出すことも非常に効果的です。
棒灸、点灸、台座灸など様々なお灸を、その方の状態に最適な方法で使い分け、心地よい温かさで体の深部から冷えを取り除きます。
どのツボを使うかは、患者さんの脈や舌、お腹の状態を拝見し、その方の「冷えタイプ」を判別してから決定します。
部分だけでなく、全身のツボ(経穴)を使って全身からアプローチすることで、体質そのものを改善していくことを目指します。
代表的なツボとしては、体の中心にあるおへそ周辺のツボ(関元、気海など)や、足の内側にある三陰交(さんいんこう)、そして、全身の気を高める足三里(あしさんり)なが挙げられます。
これらのツボに鍼やお灸を施すことで、体の内側から温かさが広がるのを実感していただけるでしょう。
セルフケアで体温アップ!
鍼灸院での施術だけでなく、ご自宅でのセルフケアも体温アップには欠かせません。
セルフケアのツボ刺激
その人の冷えがどこから来ているのかを見極め、それに合ったツボや施術法でアプローチすることが大切ですが、ここでは代表的なツボを簡単にご紹介します。
■関元(かんげん)
おへその下にあり、全身を温める効果
■命門(めいもん)
腰の中心に位置し、生命力を高める
■湧泉(ゆうせん)
足裏の中央に位置し、足から下半身を温める効果
■三陰交(さんいんこう)
足首の内側、女性特有の冷えにも対応
■足三里(あしさんり)
胃腸の働きを整え、気血を補う
自宅でこれらのツボへのお灸やツボ押しをしてください。
生活習慣
まずは食養生です。
体を温める食材を積極的に摂りましょう。
例えば、根菜類(ゴボウ、ニンジン、レンコンなど)、ショウガ、ニンニク、ネギ、鶏肉、魚介類などは体を温める効果があります。
逆に、体を冷やすとされる生野菜や果物、冷たい飲み物、砂糖を多く含む甘いものなどは摂りすぎに注意が必要です。
また、日常生活では入浴や運動を意識してください。
シャワーだけでなく、湯船に浸かって体を芯から温める習慣をつけましょう。
軽いウォーキングやストレッチなど、継続できる運動を取り入れることで、血流が促進され、熱を生み出す体になります。
低体温でお悩みの方へ〜鍼灸院からのご提案〜
「なんとなく不調が続いているけど、どこに行けばいいかわからない」
「病院では異常なしと言われたけど、つらい」
…そんな「なんとなく不調」を放っておかないでください。
その不調の根源に、低体温が隠れている可能性は十分にあります。
あなたの「冷え」のお悩み、ぜひ一度ご相談ください。
私たちは、鍼とお灸の力であなたの体と心を整え、健康に寄与し、治って喜ぶ笑顔が見たいと心から願っています。
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