東洋医学を日常生活で活かす|鍼灸師による東洋医学・10

東洋医学を日常生活に取り入れよう

東洋医学を日常に・写真1

現代社会ではストレスや不規則な生活、偏った食事などが原因で、さまざまな体調不良が起こります。
そんな中で、東洋医学の考え方を取り入れることで、より健康的な生活を送ることができます。

今回は、これまで解説してきた東洋医学の基本概念を振り返りながら、日常生活に活かせる具体的な養生法を紹介していきます

東洋医学の基本的な考え方

「気・血・水」のバランスを整えることが健康増進に役立ちます。

東洋医学では、身体の健康は「気(エネルギー)」「血(栄養)」「水(体液)」のバランスが取れていることが重要だと考えます。
このバランスが崩れると、疲れや冷え、むくみなどの不調が現れます。

【例】

「気」が不足すると、疲れやすい、風邪をひきやすい

「血」が不足すると、顔色が悪い、髪がパサつく、貧血ぎみ

「水」の巡りが悪いと、むくみやすい、めまいがする

こうした不調を改善するために、食事・運動・生活習慣の工夫が大切です。

東洋医学的な食養生

食事は健康の基本です。
東洋医学では「医食同源」という考え方があり、食事を通じて体質を整えることができます。

季節に合わせた食事

東洋医学では、旬の食材を積極的にとることを勧めます。
また、五味のバランス(酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味の五味)も大切にしています。
五臓(肝・心・脾・肺・腎)の働きを助けます。例えば、酸味は肝、苦味は心、甘味は脾、辛味は肺、鹹味は腎にそれぞれ対応しています。

四季に合わせて食事を変えることが健康維持に役立つと考えます。

春:肝の働きを助ける酸味の食材(柑橘類、酢、梅干し)

夏:余分な熱を冷ます苦味の食材(ゴーヤ、緑茶、セロリ)

秋:肺を潤す甘味の食材(梨、はちみつ、大根)

冬:腎を補う塩味の食材(昆布、味噌、黒豆)

体質に合った食材を選ぶ

冷えやすい人:温める食材(ショウガ、シナモン、羊肉)

胃腸が弱い人:消化を助ける食材(カボチャ、山芋、お粥)

ストレスを感じやすい人:気を巡らせる食材(ミント、ジャスミン茶、柑橘類)

東洋医学的な運動と生活習慣

気の巡りを良くする運動

適度な運動は気血の流れを良くし、健康維持に役立ちます。

ウォーキング:全身の気血を巡らせる

ヨガ・太極拳:呼吸を整えながら気を調える

ストレッチ:筋肉の緊張をほぐし、気の流れをスムーズにする

質の良い睡眠をとる

睡眠は気血を養い、身体を回復させる重要な時間です。

寝る1時間前にはスマホやパソコンを控える

就寝前に温かい飲み物(白湯やカモミールティー)を飲む

足元を冷やさないように靴下や湯たんぽを活用する

東洋医学的なメンタルケア

東洋医学では、心と身体は密接に関係していると考えます。
ストレスが溜まると「気滞(気の巡りが悪い状態)」になり、不眠や胃腸の不調が現れることがあります。

心のバランスを整える方法

深呼吸をする:気の巡りを改善

好きな香りを楽しむ:リラックス効果のあるアロマ(ラベンダー、柑橘系)

ツボ押し:

合谷(ごうこく):ストレスや肩こりに効果的

内関(ないかん):不安や胃の不調を和らげる

まとめ:東洋医学的養生のポイント

東洋医学では、日々のちょっとした工夫で健康を維持することができると考えます。

■体質を理解する:
自分の体質(気虚、血虚、陰虚、陽虚など)を理解し、体質に合った養生法を実践することが大切です。

■季節の変化に対応する:
季節の変化に合わせて、食事や生活習慣を調整することで、体調を維持することができます。

■未病を治す:
病気になる前に、体調の変化に気づき、早めに対処することで、重症化を防ぐことができます。

東洋医学は、心身を一つの繋がりとして捉え、自然のリズムに合わせて生きることを重視します。

「気・血・水」のバランスを意識し、食事・運動・生活習慣を整えることで、不調を未然に防ぐことができます。
無理なく続けられる養生法を取り入れ、健やかな毎日を送りましょう。