むくみ（浮腫）
むくみ(浮腫)とは
むくみとは、皮下に余分な水分が溜まっている状態です。
体に必要な酸素や栄養は、動脈中の血液によって体の隅々にまで届けられます。
そして届け終わった後は、細胞から作られた二酸化炭素や老廃物を受け取って、静脈やリンパ管を通って心臓に戻ってきます。
体の各組織中ににじみ出た水分は、役目を終えた後、通常は静脈やリンパ管に戻りますが、何らかの原因で静脈やリンパ管に回収されにくくなると、細胞と細胞の間に水がたまり、異常に増加して膨らんだような状態になり、むくみが起こります。
むくみが起こりやすい場所としては、顔面、腕や手、足などがあります。
朝起きたときにまぶたや顔が腫れぼったかったり、夕方になると足がむくんだりするものの、一定の時間が経つと消えるような軽度のむくみは特に西洋医学的な治療の必要はありません。
一方、
慢性的なむくみは病気が原因で起こることがあります。
心臓、腎臓、肝臓といった臓器の疾患が疑われます。
これらは数日では治らない慢性的なむくみで、むくんでいる部位を押すと指の後がつくのが特徴です。
心臓・腎臓・肝臓の異常だけなく、「妊娠中毒症」「橋本病」などでも起きます。
癌の手術でリンパ管やリンパ節を切除することで、リンパ液の流れが滞り溜まる「リンパ浮腫」などもあります。
緊急度の高い代表的な病気には、心不全や腎不全、アナフィラキシーなどがあります。
慢性的なむくみの場合には、一度、病院での診察を受けることをお勧めします。
大きな病気の場合は、西洋医学(病院)での治療をまず優先してください。
西洋医学的な治療をするほどではないがむくみが気になるケースや、「病院での治療以外にも何かできることはないか」と思われた時には、東洋医学(鍼灸)をお試しください。
鍼灸とむくみ
東洋医学(鍼灸)では、体内の「気・血・水」が過不足なくきれいに巡っていることで健康が保たれると考えられています。
体のむくみは「水の滞り」が原因で起こると考えられます。
この状態を漢方では「水毒」「水滞」「痰湿」などと呼びます。
水分代謝が悪く、水が体の中で停滞しているという意味です。
「水滞」のタイプの人は、お腹を触ると冷たい、夕方になると足がむくむ、曇りの日や雨の日は体調を崩しやすい、舌がぼってりして圧痕がついているというのが特徴です。
また「水」は東洋医学での内臓である六臓六腑では「肺・脾・腎」3つの臓によって調節されています。
この中でも「脾虚(脾の弱り)」「腎虚(腎の弱り)」がむくみに強く関わっていると考えます。
脾虚
「脾」は体の水分の量や分布をになっており、脾の力が弱ると顔や足に浮腫が現れます。
食べ物を消化し、エネルギーにかえて体全体に栄養を運ぶ働きがあります。
このため、脾の力が弱ることで、水分の代謝に必要なパワーも足りなくなり、水分の排出機能が弱ってしまいます。
つまり、体内に水がたまりやすくなってしまうのです。
腎虚
「腎」は、成長・生殖や老化に強く影響します。
また、水分代謝をコントロールする機能も持っています。
この腎の力が弱くなると、老化現象がすすみます。
この老化現象によって、さらに水分の代謝機能が弱くなってむくみが深刻になってしまうのです。
以上のように、
どこにむくみがあるかだけでなく、体の状態(体質)を判断し、施術の方針を決めていきます。
代表的なツボは、
むくみがある場所に関係する経絡上のツボを選び、さらに体質によってツボを選択します。
脾虚なら、三陰交、足三里、中脘、脾兪など。
腎虚なら、太谿、復溜、関元、腎兪など。
以上、
東洋医学では体質の改善が重要視されます。
鍼やお灸を用いて、経絡（気血の流れる経路）を刺激し、臓腑の機能を調整することで症状の緩和や改善を促します。
ただし、
個々の患者さんの症状や体質によって適切なツボの選択や施術方法は異なります。
患者さんお一人お一人の体質に合わせたツボを全身より選択して、実際の施術は行います。
自律神経を整える＝冷えとストレス対策が重要
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