鍼灸の安全性 – 痛くない? 怖い?|鍼灸の世界・5
鍼灸の安全性
このシリーズでは、鍼灸の世界をより身近に感じていただけるよう、様々な情報をお届けしています。
今回は第5回目。
多くの方が鍼灸に対して抱くかもしれない疑問や不安、「痛いの?」「安全なの?」「副作用はないの?」といった点についてお話ししたいと思います。
たとえば40代の女性の皆さんの中には、仕事や家事、子育てに加えて、ご自身の体の変化を感じ始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「なんだか疲れが取れない」「冷えが気になる」「眠りが浅くなった気がする」など、これまでとは違う体調の変化に戸惑ったり、不安を感じたりすることもあるかもしれません。
そんな時、「体に優しい方法で改善したいな」と思いつつも、「鍼って痛そう」「お灸って熱そう」というイメージから、一歩踏み出せずにいる方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、ご安心ください。
鍼灸は、皆さんが想像している以上に安全で、痛みも少なく、そして体に優しい施術法なんです。
今日は、そんな鍼灸の安全性についてご説明していきます。
鍼の安全性: 感染症対策も万全
まず、「鍼を体に入れる」と聞くと、「衛生面は大丈夫なの?」「感染症が心配…」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
これは、初めて鍼灸を受ける方が抱く、ごく自然な疑問だと思います。
鍼灸院での感染症対策は、医療機関として非常に厳格に行われています。
とくに、鍼に関しては、徹底した衛生管理が行われています。
「使い捨て鍼」が当たり前です。
昔の鍼灸院では、使った鍼を洗浄・滅菌して繰り返し使うことが主流でした。
※今でも鍼を滅菌・再利用する鍼灸院さんもあり、それはそれで「滅菌処理」されているので安全です、が心情的に不安がつきまといますので現在はマイナーになっています。
現代、鍼灸院では、使い捨て(ディスポーザブル)の鍼を使用するのが圧倒的主流となっています。
当院でももちろん、全ての鍼で使い捨てのものを使用しております。
一度患者さんの体に刺した鍼は、すぐに医療廃棄物として適切に処理されます。
二度と同じ鍼を使うことは絶対にありません。
※使用済み鍼を医療廃棄物として処理する廃棄箱(当院のもの)
これにより、血液などを介した感染症のリスクはゼロと言っていいほど低くなっています。
これは、注射器が使い捨てになっているのと同じ考え方ですね。
注射と同じように、鍼も一人ひとりに新しいものを使用する。
だから安心して施術を受けていただけるのです。
徹底した衛生管理
鍼以外にも、施術に使う器具や、施術者の手、患者さんが触れる可能性のある場所など、院内のあらゆる場所で衛生管理を徹底しています。
■アルコール消毒・手洗い:
施術の前には必ずアルコールによる手指消毒や手洗いを行います。
■施術環境の清掃:
施術ベッドは患者さんごとに清潔にしています。
■使い捨ての消耗品:
鍼以外にも、鍼を載せるお皿も使い捨てを使用しています。
このように、鍼灸院は皆様が安心して施術を受けられるよう、見えないところでも様々な感染症対策を行っています。
痛みの軽減: ほとんど痛みを感じない
次に、「鍼って痛そう…」というイメージについてです。
これは、鍼灸の施術を受けるのをためらう一番の理由かもしれませんね。
細いとはいえ、針を体に刺すなんて、考えただけでゾッとする…という方もいらっしゃるかもしれません。
でも、もしあなたが「鍼=注射針」をイメージしているなら、それは全くの別物だと知ってほしいのです。
鍼は注射針とは太さが全然違います
注射針は、薬液を注入したり採血したりするために、ある程度の太さが必要です。
一方、鍼灸で使う鍼は、髪の毛よりも細いものがほとんどです。
具体的には、0.1mmから0.2mm程度の太さの鍼が多く使われます。
これは、蚊が血を吸うときの針と同じくらい、あるいはそれよりも細いものもあります。
試しに、ご自身の髪の毛を一本抜いて、指で挟んでみてください。鍼の太さは、それくらいのレベルなんです。
注射針が「ブスッ」と刺さるイメージなら、鍼は「スーッ」と皮膚を通り抜けるイメージに近いかもしれません。
皮膚には痛点がありますが、細い鍼だと痛点を避けて鍼が入っていくことが多いため、ほとんど痛みを感じないことが多いのです。
チクっとする? それとも何も感じない?
初めて鍼を受けた方からは、「思っていたより全然痛くなかった!」「いつ刺したのか分からなかった」という感想をよくいただきます。
もちろん、体質や体調、ツボの種類によっては、チクっとした感覚や、蚊に刺されたときのような感じを一時的に覚えることもありますが、それはごくわずかな痛みで、我慢できないような痛みではありません。
「響き」や「ズーン」とした感覚について。
鍼がツボに当たると、痛みとは違う独特の感覚が生じることがあります。
これを「響き(ひびき)」と呼んだりします。
奥の方で「ズーン」としたり、「ジーン」としたり、「ポカポカ」したり、「ピリピリ」したりと、その感じ方は様々です。
これは、鍼の刺激が神経や筋肉に伝わって起こる感覚で、「あ、今、効いているな」と感じる方も多いです。
この響きが、凝り固まった筋肉を緩めたり、滞った血行を良くしたりする効果を高めるサインでもあります。
初めてで不安な方には、この響きについても事前に丁寧にご説明しますし、刺激量の調整も可能です。
「痛いのが苦手」「怖い」という方は、遠慮なくおっしゃってください。
患者さんの状態やご希望に合わせて、最も心地よく、かつ効果的な刺激量で施術を行います。
当院の鍼灸施術は、「痛くなくお灸は熱くなく心地よい効かせる施術」をモットーにしています。
患者さんがリラックスして施術を受けられるよう、細心の注意を払いながら、心地よいと感じる刺激で体の変化を引き出していきます。
副作用のリスク: 少ないから安心
薬を飲むと、病気を治す効果がある一方で、眠くなったり、胃が荒れたり、発疹が出たりといった副作用が起こることがありますよね。
では、鍼灸には副作用はないのでしょうか?
鍼灸は、薬のように化学物質を体に入れるわけではありません。
自身の体が本来持っている自然治癒力やバランスを整えることを促す施術です。
そのため、西洋医学の薬のような強い副作用が起こるリスクは非常に少ないと言えます。
稀に起こりうるのは「好転反応」。
鍼灸の施術を受けた後に、一時的に体がだるく感じたり、眠くなったり、症状が少し重くなったように感じたりすることが、ごく稀にあります。
これを「好転反応(こうてんはんのう)」と呼ぶことがあります。
好転反応は、体が改善に向かう過程で起こる一時的な反応と考えられています。
これまで滞っていた気の流れや血行が急に良くなったり、体のバランスが大きく変化しようとしたりする時に起こることがあります。
だるさや眠気は、体がリラックスして休息を求めているサインかもしれません。
症状の一時的な悪化は、体が悪い部分を立て直そうとして、一時的に表面に現れている状態かもしれません。
このような反応は、数時間から数日でおさまることがほとんどです。
そして、好転反応の後には、体がより良い状態へ向かうことが多いのです。
「副作用」というよりは、「体が良くなろうと頑張っている証拠」と捉えていただけると良いかもしれません。
副作用が少ないことの大きなメリットです。
鍼灸の副作用が少ないことは、特に慢性的な不調や、体質そのものを改善したいと考えている方にとって、大きなメリットとなります。
薬に頼り続けることなく、自分の体の力で健康を取り戻したい、という方にとって、鍼灸は非常に有効な選択肢となり得ます。
当院では、鍼とお灸の専門院として、部分的な症状だけでなく、体全体のバランスを整える「東洋医学に基づいた本格的な鍼灸」を行っています。
脈やお腹、舌など、東洋医学的な視点から体の状態を細かく把握し、その方の体質や不調の原因に合わせて、全身のツボを使ってアプローチしていきます。
まとめ: 安心して鍼灸の世界へ一歩踏み出してみませんか?
ここまで、鍼灸の安全性、痛みの少なさ、副作用のリスクについてお話ししてきました。
鍼灸院では、使い捨て鍼の使用や徹底した衛生管理により、感染症のリスクはほとんどありません。
鍼の太さは髪の毛ほどで、痛みはほとんど感じない方が多く、「心地よい」「効いている感じがする」という感想がほとんどです。
そして、薬のような強い副作用のリスクは少なく、稀に起こる好転反応も体の改善のサインであることが多いです。
いかがでしたか?鍼灸に対する「痛そう」「怖い」「安全なの?」といったイメージが、少しでも和らいでいたら嬉しいです。
当院は、患者さん一人ひとりの話を時間をかけて丁寧に伺い、分かりやすく説明することを大切にしています。
初めての方でも安心してなんでも質問できる雰囲気です。
マッサージや整体ではなく、鍼とお灸の専門院として、本格的な東洋医学に基づいた施術で、あなたの体の悩みに寄り添います。
もし、あなたが今、体の不調を感じていたり、「もっと健康になりたいな」「体質を根本から変えたいな」と考えているのであれば、副作用が少なく体に優しい鍼灸を一度試してみませんか?
きっと、あなたが想像していたよりもずっと心地よく、そしてあなたの体に寄り添ってくれるはずです。